【スノーボードメンタル】冨田せな選手から学ぶ、恐怖を乗り越えるメンタル

2023年7月18日

冨田せな選手に学ぶ、恐怖を乗り越えるメンタル

  • 3歳からスノーボードを始める
  • 中学1年生の時に日本スノーボード協会公認プロ資格を取得
  • 2018年平昌オリンピックにて8位入賞

幼い頃からスノーボードに触れ、中学生ですでにプロ資格を取得していた冨田せな選手。

高校3年生 18歳で初のオリンピック出場を決め、8位入賞という素晴らしい結果を出し、

順調にステップアップしていた冨田せな選手に「試練」が訪れました。

“ワールドカップ練習中に転倒し大怪我”
“頭を強く打ちつけ、3ヶ月は絶対安静”

さらに出場が決まっている2022年北京オリンピックは、その大怪我をした会場での開催…。

公式練習中も、恐怖のあまり泣きながら練習していたという冨田せな選手。

しかし、そんな試練を乗り越えて北京オリンピック 女子ハーフパイプで日本人初の銅メダルを獲得。

恐怖心を乗り越え、最高のパフォーマンスを魅せた冨田選手が「あること」を大切にしていました。

世界を相手に素晴らしい活躍を果たした、冨田選手がどんなことを大切にしていたかを解説していきます。

【恐怖を乗り越えるために】恐怖心に素直になる勇気

私はスポーツメンタルコーチとして学生〜アマチュア、プロアスリート、代表候補レベルの選手まで

競技に本気で打ち込むアスリートのメンタルをサポートしています。

選手によって、抱えている悩みはもちろん様々ですが、どんな選手にも共通していることが

「大なり小なり、いろんな恐怖を抱えている」ということです。

  • この場面でミスをしたらどうしよう
  • この試合で負けたら…
  • また怪我をするかもしれない…

このように、アスリートは常に様々な恐怖と戦っています。

そのくらい人はポジティブな出来事よりも、「ネガティブな出来事」に対して強く反応を示します。

過去の失敗、大きな挫折、怪我の経験など、ネガティブな出来事の方がより記憶に強く残りやすいと言われています。

人はポジティブなことよりもネガティブなことが記憶に残りやすい

これを心理学では「ネガティビティ・バイアス」といいます。

言い換えれば、「誰もが恐怖心を持っている」とも言えます。

しかし、もし「恐怖心に対して素直になること」ができたとしたら、どんな変化が起こるでしょうか?

オリンピックで日本人女子初のハーフパイプでメダルを獲得した冨田選手はこのように語っています。

“昔この会場でケガしたこともあって、悪いイメージがあって、すごいパイプ滑るのが怖かったですね。”
“ケガしたことを変に思い出しちゃったりもして、(中略)泣きながら滑ってました。”
抜粋:https://youtu.be/AT1JtuHrg2I
https://youtu.be/2Q27GZVwx-g

この言葉からも、冨田選手が素直に恐怖心を認めていることがわかります。

では、「恐怖心に素直になること」が、どう競技に繋がるのか?

この部分に関してお伝えしていきます。

【感情の科学】恐怖を乗り越えるコツは“受け入れること”

恐怖心がありながらも、その感情に素直になり素晴らしい結果を残した冨田選手

この恐怖心に素直になるということが非常に大きなポイントになります。

多くのアスリートが、

  • ビビらずにいける…!
  • 自分なら大丈夫…!

このように自分に言い聞かせ、「恐怖心をなくす方向」に努力します。

しかし、実はこの「恐怖心(感情)をなくす」という行為は、逆効果になることがわかっています。

なくそうとすればするほど、より意識してしまうことを、心理学では「シロクマ効果」と言います。

💡「シロクマ効果」とは
あることに対して「思考抑制」がなされると、
むしろそのことで頭がいっぱいになってしまう現象。

引用:教育心理学研究

このように、恐怖心をなくそうとすればするほど、恐怖心に繰り返し触れることになってしまいます。

だからこそ、恐怖心をなくそうとするのではなく、

恐怖心に素直になり受け入れることが重要なのです。

自分の感情に素直になる勇気

恐怖心をなくすのではなく、素直に受け入れていくことが恐怖を乗り越えることに繋がる。

ということをお伝えしてきました。

そのくらい、「自分の本当の気持ち」を見つめ直すって大事なんです。

しかしそれができてるアスリートは多くありません。

  • ネガティブはだめ
  • ポジティブはOK

このように、どうしても自分の感情に良し悪しをつけてしまうからです。

だからこそ、素直になることが重要なんです。

もし自分の感情に素直になることができたら、どんな変化があるでしょうか?

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

この記事を書いた人

石井 大樹

大学アメフト時代に人間関係に苦しみ心から競技に集中できず、平凡な選手として引退。
「愛するスポーツを嫌いになって欲しくない」
「心から好きな競技に集中してほしい」
そんな思いから就職した会社を退職後、脳と心の仕組み、スポーツ科学を学ぶ。

現在はプロ〜学生アスリートまで、
“スポーツに本気で向き合うアスリート”
を対象に最先端のスポーツメンタルコーチングを提供。

プロ入団、世界大会出場、リーグ昇格、アジア選手権入賞、全日本優勝などを選手と共に経験。
「情熱を注ぐスポーツに心の底から集中できるアスリートを増やすこと」がミッション。

「常に現場主義」をモットーに、アスリートと同じ温度感を共有し、支えることが信念。