ダメ出しでは人は変わらない〜成長へと導く、言葉の力学〜

ダメ出しでは人は変わらない、成長へと導く言葉の力学について詳しく解説

こんにちは!
常に現場主義」を掲げ、アスリートのメンタルを支えています。
スポーツメンタルコーチの石井大樹です。

スポーツの世界で、

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それらと同じくらい大切なのが「言葉」だと言ったら、驚かれるでしょうか?

でも、これは事実なんです。

なぜなら、言葉は思考の“いちばん外側”にあるものだから。

言葉に出す内容は、心の中で何を考え、どう捉えているかの「写し鏡」。

逆に言えば、どんな言葉を使うかで、思考の質や方向性そのものが変わってくるのです。

今回はそんな視点から、

「ダメ出しでは人は変わらない、言葉の力」についてお伝えしていきます。

成長を止める「ダメ出し」と、伸ばす「改善」

たとえば練習中、あるプレーが上手くいかなかったとき。

「なんでできないんだよ…」

「ミスばっかりじゃん、自分はダメだ」

こんな“ダメ出し”の言葉を自分に投げかけてしまう選手は少なくありません。

実際に私がサポートしている選手にも、

試合の振り返りノートを開くと、そこにはぎっしり書き連ねてあるダメ出しのオンパレード…

という選手もいます。

そして私自身も、現役時代はまさにダメ出しの天才でした。

ノート開けばダメ出しの山、ミーティング中の発言も自分へのダメ出し。

しかし、これは自己否定を強化する言葉なんです。

こうした言葉を繰り返していると、

脳は「ミス=自分はダメ」という思考パターンを強化し、

結果的に萎縮・焦り・自己肯定感の低下を招いてしまいます。

一方で、同じ場面でもこう言い換えることができます。

「何が原因だったんだろう?次はこうしてみよう」

「タイミングがズレたな。次は意識してみよう」

これらは改善に向かっている言葉です。

プレーを冷静に分析し、次に繋げようとする姿勢が現れています。

重要なのは、“うまくいかなかったこと”に対しても、

「どう乗り越えるか」を考えるための言葉を選ぶことなのです。

脳科学から見た「言葉」の重要性

脳科学の研究では、

言葉の選び方が感情のコントロールや行動の選択に影響を与えることが分かっています。

前頭前野という、判断・計画・思考を司る脳の領域は、

ポジティブな言葉・建設的な言葉によってより活性化し、

冷静な思考や行動につながることが知られています【Lieberman et al., 2007】。

また、ネガティブな自己対話は、

扁桃体という“不安”や“恐怖”を司る部分を刺激し、

本番での過剰な緊張やパフォーマンスの低下にも繋がってしまうのです。

つまり、ダメ出しとは自分で自分の首を絞めているようなものなんです…。

個人だけでなく、チーム内でも「言葉」が空気をつくる

さらに「言葉の選び方」は、個人単位だけでなく、チームの雰囲気づくりにも直結します。

  • 失敗した仲間に「何やってんだよ」ではなく「ドンマイ、次いこう」
  • うまくいったプレーに「ナイス!」を自然に言えるかどうか

この些細な言葉の選び方一つで、

チーム内の安心感挑戦しやすい空気心理的安全性がまるで違ってきます。

つまり、言葉は“パフォーマンスの土台”そのものになりうるのです。

「言葉の使い方」は“スキル”であり、誰でも磨ける

そして何よりもお伝えしたいことは、

この「言葉の使い方」は生まれ持ったセンスではなく、そして才能でもない。

意識次第で、日々の取り組み次第で、誰でも磨いていけるスキルだということ。

  • 日々の練習日誌に、できたこと・成長したことを書く
  • ネガティブな結果になった時「で、どうする?」と改善の問いを足す
  • チームメイトのいいプレーを見つけて言葉で伝える

こういった意識次第で誰でもできるような「小さな積み重ね」が、

思考の質を変え、感情の扱い方を変え、やがてパフォーマンスを変えていきます。

どんな言葉を選ぶかで、未来は変わる

  • 思考した通りに行動し
  • 行動した通りに結果が出て
  • 結果によって自信や経験を獲得していく

そしてその“思考”のいちばん外側にあるのが、あなたの「言葉」です。

もし今、うまくいっていないと感じているなら、

まずは、自分が自分にどんな言葉をかけているかを見直してみてください。

その一歩が、パフォーマンスの変化の第一歩になります。

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この記事を書いた人

石井 大樹

大学アメフト時代に人間関係に苦しみ心から競技に集中できず、平凡な選手として引退。
「愛するスポーツを嫌いになって欲しくない」
「心から好きな競技に集中してほしい」
そんな思いから就職した会社を退職後、脳と心の仕組み、スポーツ科学を学ぶ。

現在はプロ〜学生アスリートまで、
“スポーツに本気で向き合うアスリート”を対象に最先端のスポーツメンタルコーチングを提供。

プロ入団、世界大会出場、リーグ昇格、アジア選手権入賞、全日本優勝などを選手と共に経験。
「情熱を注ぐスポーツに心の底から集中できるアスリートを増やすこと」がミッション。

「常に現場主義」をモットーに、アスリートと同じ温度感を共有し、支えることが信念。