【集中できない本当の理由】集中の強さではなく“集中の方向性”がカギ
こんにちは!
「常に現場主義」を掲げ、アスリートのメンタルを支えています。
スポーツメンタルコーチの石井大樹です。
「集中力がないんです」
そんな相談を、これまで何百人ものアスリートから聞いてきました。
でも――
正直その中で、本当に“集中力がない人”って、実はほとんどいませんでした。
というのも、プレー中に
- 上手くいってないこと
- 失敗の原因
- 相手の強さ
などに目が向いてしまっている時点で、
すでにその選手は“何かに集中している”状態なんです。
つまり、
「集中していない」のではなく
「集中の方向がズレている」だけ。
この事実に気づけるかどうかで、メンタルの整え方はまるで変わってきます。
今回はそんな視点から、
「集中力」についてお伝えしていきます。
集中のズレが起こる脳の仕組み
集中のズレを引き起こす原因は、人の脳の性質にあります。
脳科学では「選択的注意(Selective Attention)」という働きがあります。
これは、意識を向けたものだけを優先的に処理する脳のフィルター機能のこと。
つまり、“意識を向けたもの=集中したもの”に対して、
脳は「これが大事なんだな」と判断し、リソースを集中させます。
例えば、
- ミスをしないように
- 緊張しないように
- ミスを引きずらないように
そう考えた瞬間、それは「ミス」や「緊張」といった“集中したくないはずのこと”に
脳のリソースを割いてしまうことになるんです。
言い換えれば、集中したくないことに集中してしまう状態。
これが「集中のズレ」の正体なんです。
では、どうすれば集中したいことに集中していけるのか?
詳しくお伝えしていきます。
①「コントロールできること」に集中する
プレー中に集中すべきは「勝つか負けるか」ではなく、
「勝つために自分が“今”できる行動」に集中することになります。
実際に、「行動目標」に意識を向けることが、
パフォーマンス向上や不安の軽減に繋がる(Weinberg & Gould, 2014)ということが分かっています。
- 勝敗(結果)はコントロールできない
- でも目の前の1プレーに全力を尽くすことはコントロールできる
だからこそ、
「勝ちたい!」という気持ちを否定する必要はないけれど、
本番ではその感情を一度横に置き、“目の前のことに集中する”ことがメンタルの鍵なんです。
②「〜しない」は、逆効果(しろくま効果)
もう一つ重要なのが、“否定形の言葉”を避けることです。
- 「絶対ミスしないように」
- 「イライラしないように」
- 「緊張しないように」
このように“しないように”と意識すればするほど、
逆にその考えが頭にこびりついてしまう現象があります。
これは有名な心理実験、「しろくま効果」として知られています。
心理学者ウェグナー(Wegner, 1987)は、
「白くまのことを考えないようにしてください」と指示したところ、
多くの人が逆に白くまのことばかり考えてしまったという結果になったのです。
つまり、「しないように」と考えた時点で、
脳はすでに“その対象”に意識を向けている状態なんです。
だからこそ、
- 「ミスしないように」→【落ち着いて思い切ってプレーする】
- 「緊張しないように」→【深呼吸して今に意識を向ける】
このように、“やりたいこと”に言い換える力が、
集中のズレを防ぎ、“本来の力”を引き出す準備になります。
集中力は「強度」ではなく「方向性」
集中力は「ある・ない」で判断するものではありません。
方向が定まってさえいれば、人は驚くほど深く集中できるからです。
逆に、方向がズレていれば、「頑張ってるのに集中できない…」
という、もどかしい状態に陥ってしまう。
だからこそ、
あなたが「集中力がない」と感じているなら、まずは問いかけてほしいんです。
- 今、自分は何に集中してる?
- それは自分でコントロールできること?
- “しないように”って意識してないか?
この問いかけが、集中の“再設定”になります。
本番で力を発揮するための集中力は、
持って生まれた才能でも、天性のセンスでもないです。
整えていける【メンタリティ】なんです。
諦めず、丁寧に、整えていきましょう。
あなたの中には、すでに力があるんですから。
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